未分類

三重県立美術館で8月14日㈯から企画展「ミケル・バルセロ展─世界を魅了するスペインの天才」が開かれる。
ミケル・バルセロは、大自然を着想源に独創的でダイナミックな作品を手がける現代を代表するアーティストのひとり。スペインのマジョルカ島に生まれ。1982年に国際美術展「ドクメンタ7」(ドイツ・カッセル)に参加して以降、国際的に活躍。その制作活動は幅広く、絵画、彫刻、陶芸、版画に加え、パフォーマンス、そしてマジョルカのパルマ大聖堂内礼拝堂装飾やスイス・ジュネーヴの国連会議場の天井画といった壮大なプロジェクトも実現している。
また、制作活動は、ヨーロッパにとどまらず、時にアフリカの砂漠地帯やヒマラヤの高地にも赴く。大自然との交感は芸術活動の重要な着想源となり、大地と海、動植物、闘牛などをテーマとした作品を生み出している。中でも巨大な絵画作品は、そのスケールのみならず、塗り固められた様々な素材やカンヴァスのしわが作る凹凸によって、見る者に圧倒的な存在感をもって迫る。
今展では、初期から現在に至る絵画作品に加え、彫刻や陶芸など90点以上の作品を展示し、その多彩な芸術活動の全容を紹介する。
観覧料=一般1000園、学生800円、高校生以下は無料。休館日=月曜日。開館時間=9時半~17時(入館は16時半まで)。問い合わせは同美術館☎059・227・2100。

プレゼント
本紙読者5組10名に同展覧会の招待券をプレゼント。希望される方は葉書かメール(件名は「美術館」)で、郵便番号・住所・氏名・年齢・連絡先を明記して、〒514─0028、津市東丸之内26─12、三重ふるさと新聞「美術館」係まで。8月19日㈭必着。当選は招待券の発送をもって代えさせて頂きます。

来月、津市栄町の古刹「四天王寺」=倉島隆行住職=の境内に、高齢者向けの自立支援特化型通所介護施設『四天王庵』が開所する。㈱ポラリス=兵庫県宝塚市=と業務提携して運営するもので、介護が必要な高齢者が自宅で自立生活が送れるよう運動能力の向上などを図るパワーリハビリや歩行訓練に加え、禅の教えに基づく「禅脳」をメンタルケアに取り入れるなど独自性のある介護サービスを展開する。

 

 

四天王庵の内観

四天王庵の内観

四天王寺

四天王寺

四天王寺は曹洞宗の中本山で、今年没後1400年を迎える聖徳太子が開いたと伝承がある津市内でも屈指の古刹。しかし、進取の気風を尊ぶ寺風で、現代の人々にも分かり易く仏の教えを伝えるため、毎週日曜に座禅会を開いたり、人生相談を受ける中で、禅をメンタルケアに生かすといった試みなども行ってきた。また、同じく境内にある四天王会館は、レトロな雰囲気が漂う建物にギャラリーやカフェなどが入居。様々な年代の幅広い層の人たちが日常的に訪れるようになっており、自然なアプローチで寺へも足を運びやすい環境を整えている。
今回、関西を中心に全国に拠点を持つポラリスと提携して8月にオープンする介護施設「四天王庵」もそういった取組みの一環。倉島住職とポラリスの森剛士代表取締役との交流の中で実現。同社としては三重県初の拠点で旧四天王幼稚園の園舎を活用している。
ポラリスの提供する自立支援特化型介護は一般的な介護とは異なり、医療用トレーニング機器を使ったパワーリハビリテーションや歩行訓練を主軸に、介護が必要になった高齢者の歩く、持つといった日常生活に必要な運動能力の向上を図り、介護からの「卒業」を目的としている。
具体的にどのようなプロセスを行うかというと、最初に施設を利用する高齢者が「近所に買い物に行きたい」「ゴルフをしたい」「海外旅行へ行きたい」といった目標を立てる。そして、目標に基づいたリハビリメニューを実践しながら3カ月に1度「立つ、歩く、座る」といった動作を動画で撮影。効果をチェックするだけでなく、本人、家族、ケアマネージャーに見てもらい、次の目標について話し合っていくという流れ。これまで、車椅子利用者がリハビリを経て、杖を付いて歩けるようになったといった実績もある。
また、四天王庵独自の特色としては、幸せに生きるための考え方を学ぶために、禅の教えを分かり易く伝える「禅脳」という独自プログラムをメンタルケアに取り入れていく。緑にも恵まれ、閑寂な雰囲気漂う環境の中、心身ともにリラックスしながらリハビリに打ち込める。
倉島住職は「聖徳太子が四天王寺を創建した際には、地域の高齢者や病人に対する地域福祉を担っていたという伝統も踏まえている」と語り、利用者の反応を見ながら、禅の教えを生かした様々なケアを取り入れていく予定という。
地域の社会問題の解決を担い、地域コミュニティの中心にあった寺本来の役割に即した意欲的な取組みに注目が集まる。
施設は介護保険制度利用者が対象で、ケアマネージャーからの相談や見学・体験の希望も受付中。問い合わせは平日9時~18時 0120・927・276へ。

庶民の社交の場として親しまれてきた銭湯は、内風呂の普及や大規模なスーパー銭湯の台頭など、時代の変化に伴って年々姿を消している。しかし、津市では昨年に廃業した銭湯「敷島湯」=津市乙部=を受け継いだ倉口常太郎さん(25)が一部改修を加え、「朝日湯」として新規開業した。歴史ある銭湯を若い力で切り盛りしていくことになり、地域住民も温かいコミュニケーションの場の復活を喜んでいる。

 

「朝日湯」の浴場

「朝日湯」の浴場

「朝日湯」の前で倉口さんと母・智子さん

「朝日湯」の前で倉口さんと母・智子さん

戦後から高度経済成長期にかけて、内風呂の無い家庭も多く、銭湯は公衆衛生上、大きな役割を果たし、近所の人々が文字通り裸の付き合いをする社交の場としても親しまれてきた。しかし、時代の流れと共に内風呂が普及し、レジャー性の高いスーパー銭湯の台頭で苦境に立たされ、経営難や後継者不足を理由に、全国的に姿を消している。近年、レトロな銭湯の魅力や文化性が再評価されてはいるが、三重県でも苦しい状況で20数件にまで減少している。
朝日湯の前身である敷島湯は昭和29年創業。花町であった乙部の華やかなりし時代には、街を彩った芸者たちも訪れた。施設は古いながらも、手入れが行き届いており、長らく地域の人たちの憩いの場として愛されていた。しかし、経営者の高齢化もあり、コロナ禍中の昨年4月末で66年の歴史に幕を閉じた。
その敷島湯が、朝日湯として復活することになった契機は、無類の銭湯好きである倉口さんの父が廃業日の直前に訪れたこと。素晴らしい銭湯が消えることを惜しみ、後日先代オーナーに施設を受け継ぎたいと交渉したところ、快諾してもらうことができた。
ただし、倉口さんは銭湯で働いた経験は無かったため、今年に入ってから知り合いの銭湯でお湯のわかし方を一から学んだり、先代オーナーのアドバイスを受けながら、日々準備を進めてきた。ボイラーにくべる薪を運んだり、丁度良い大きさに割るのは、想像以上に重労働で火の管理や季節によって変わる温度調節の仕方など、まだまだ学ぶべきことも多い。番台に立つ母・智子さん(57)と二人で協力しながら切り盛りしていく。
外壁は以前よりも濃い青色になり、看板こそ変わったものの、内部は敷島湯の設備をほぼ生かしている。見える部分の改修は浴場に富士山の絵を描いたり、老朽化が激しかったサウナなど一部。長年、多くの常連客に愛された温かい雰囲気はそのままに入浴できる。
今月4日のオープン日には〝復活〟を喜ぶ地域の人たちも訪れた。敷島湯には、毎日通う常連だった鈴木祐輔さん(40)は「子供のころから30年近く通っていた銭湯にまた入れることが本当に嬉しい」と語る。
倉口さんは「普段通い出来る安心感と、お金を支払って頂く分の満足感を感じて頂けるように頑張る。以前通われていた方も初めての方も気軽に来て頂けたら」と笑顔。
若い力で復活した歴史ある銭湯は、これからも多くの人たちの身も心も温め続けることだろう。
入浴料は440円。サウナに入る場合は600円。営業時間は16時~23時。定休日は水・土。問い合わせは☎059・229・4126へ。

[ 42 / 131 ページ ]« First...102030...4041424344...506070...Last »