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劇団津演による2021年度公演「仇討」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため三重県でまん延防止等重点措置が適用され、津市民文化祭の行事が全て中止となったことから1月29日・30日だった公演を7月2日㈯・3日㈰に延期する。同公演は当初、昨年9月に予定されていたが、同感染症拡大の影響で今年1月に延期されていた。今回で再々延期となる。問い合わせは津演☎津226・1089(㈪㈬㈮の20時以降)。

洗いたての洗濯物など、私たちの生活の中で漂う「良い香り」が知らず知らずのうちに誰かを傷つけているかもしれない…。洗剤や柔軟剤の香りなどに含まれる微量の化学物質に反応し、目や鼻の粘膜がただれたり、めまいなどの症状を引き起こす「化学物質過敏症」。この病気で悩む人たちは至る所に潜む目に見えない脅威を避けるため、うかつに自宅から出られなくなるなど、苦しい生活を強いられている。

 

化学物質過敏症とは、アレルギー疾患や中毒性疾患と似た症状で、一度に多くの化学物質にさらされたり、慢性的に少量の化学物質にさらされ続けることで発症すると見られている。発症すると微量の化学物質に反応し、目・鼻・喉が荒れたり、めまい、頭痛、吐き気など症状は多岐にわたる。発症の詳細な仕組みや有効な治療法はまだわかっていない。建築用の接着剤に含まれるホルムアルデヒドなどに反応する「シックハウス症候群」は、原因となる住宅から外などへ移動すれば症状が和らぐことが多いが、化学物質過敏症は、空気中に微量でも化学物質が漂っていれば、あらゆる環境下で反応してしまう。その原因となる化学物質を含む最も代表的な存在が洗剤や柔軟剤から漂う香り(香料)だ。
津市在住の中村保美さんも化学物質過敏症で苦しむ一人。幼少期から自動車の排気ガスのアレルギーに悩まされ、15年ほど前から症状が悪化。現在は、洗濯用洗剤、芳香剤、香水、殺菌剤、農薬、食品保存料などに使われる化学物質に反応し、頭痛、吐き気、めまい、呼吸困難、皮膚と粘膜のただれ、集中困難、身体の痛みや倦怠感などの症状がある。そのため、普段から食べ物や飲料、シャンプーや洗剤など、直接肌に触れるものには、細心の注意を払うなど自衛策を講じている。しかし、他者をコントロールすることは不可能なので、すれ違う人から漂う柔軟剤や化粧品の香り、外出先の施設に設置された芳香剤などの香りを嗅ぐことで、体調を崩してしまうため、自宅から出ることすらままならない不自由な生活を余儀なくされている。
この病気の苦しいところは、症状もさることながら、香りの発生源である人間から遠ざかざるを得なくなり、満足に社会生活を送れなくなってしまうことだ。まだまだこの病気について理解している人が少ないため、辛さを訴えても、香りに対する好き嫌いや我がままと受け止められてしまうこともあるので、社会的な孤立も招きやすい。
苦しい日々を送っている中村さんだが、普段利用するコンビニで事情を知った店主がトイレの芳香剤を使うのを控えるようになってくれたことに感激し、人の心の温かさを改めて実感した。「(当事者が)独りよがりな解決策を講じるのではなく、話し合いで問題が解決していく誰にでも優しい社会の構図が出来ることを願う」と相互理解の大切さを訴える。
近年では、中高年男性の「加齢臭」が取りざたされることもあり、エチケットとして、しっかりと香る洗剤・柔軟剤を使う人や香水をつける人が増えたり、不特定多数の人が利用する施設に芳香剤を置くことが日常的になっている。しかし、その優しさや思いやりが一部の人を傷つけかねないという現実もまた広く知られるべきだろう。全国各地の都道府県や市町村も少しずつ、この病気について周知を行っており、三重県内でも名張市や伊賀市がHP上で情報を発信している。
化学物質過敏症は、花粉症のように、誰もが突然発症する可能性のある病気といわれていることからも、決して他人事ではない。有効な治療法が確立されていない現在、できるだけ香りのしない洗剤・柔軟剤・化粧品を使う、虫よけスプレーや殺虫剤を使う時は周囲に気を配るなど、多くの人の理解と、少しの配慮が、この病気で苦しむ人たちの苦しみを和らげることにつながる。

前号に引き続き、今回も空き家問題を取り上げる。津市の空き家対策が着実な成果を上げる裏で、ある読者より「近所にある空き家問題で困っているが、行政に相談しても解決せず、どうしたら良いのか分からない」との一報を受けた。現地に足を運んでその空き家を調べてみると、行政も対策に手をこまねく事情が見え隠れする。

 

屋根が崩れて危険な所有者不在空き家

屋根が崩れて危険な所有者不在空き家

旧街道沿いの宿場町として栄えた往時の風情が残る津市芸濃町のある集落に件の空き家はある。木造の平屋建で、軒は瓦の重さで曲がり、壁土が風雨で浸食されむき出し。家の土台の一部も崩れ、ブロックをかませて支えている有様。地域住民による推定築年数は70年以上。そんな危険な空き家は県道に密着しており、子供を含む地域住民が日常的に徒歩や車で往来するだけでなく、路線バスも通っている。
この空き家は、十数年前に所有者が死去し、その子供が相続。同じ敷地内には先述の木造平屋以外にも鉄骨造りの家も建っている。相続された時点で既に家が傷んでいたため、今回悲痛な声をあげた当時の自治会長だった男性は適切な管理を打診していた。しかし、その願いも空しく、どんどん空き家の状況は悪化。時折、屋根から瓦が県道側に落ちて危険なだけでなく、台風や地震がくれば倒壊するのではと地域住民は不安を抱え続けてきた。自主的に空き家に近づかないようバリケードなどを置こうとしても、敷地が県道に密着しているのでスペースもとれず、県道上は許可も下りない。もちろん、個人資産である以上、他者が空き家に手を加えることは不可能。市に対応を呼びかけ続けているが、一向に進展が無く困り果てていた。
津市に状況を確認したところ、この空き家は現在、相続人全てが相続権を放棄した所有者不在の状態にあるという。津市では「空家対策特別措置法」に基づき、倒壊の恐れがあり、周囲に民家や交通量の多い道路がある特に危険な「特定空家等」に認定している。この空き家も認定されているため、本来であれば、所有者に対して修繕や解体を求めることが可能で、応じない場合は住宅地の固定資産税の優遇措置の解除や、強制的に解体を行い費用を請求する行政代執行が行える。しかし、所有者不在の空き家には、これらの対応をとることができない。
この家を処分する方法は大きく二つ。一つは略式代執行。所有者に解体費を請求する行政代執行と違い、解体費用は全て市持ちとなるのが欠点。もう一つは、財産管理人制度の利用。市が弁護士や司法書士などの専門職に依頼して財産管理人を定め、空き家を解体した上で、土地の売却などを行うことができる。ただし、専門家への報酬など諸経費が必要で、土地の売価が解体費を下回る場合や土地が売れない場合、略式代執行よりも費用がかさむ可能性がある。相続放棄される土地は、資産価値が低いことが多く、不要な土地を抱え込むリスクもはらんでいる。津市が二の足を踏む理由はこれらにある。
津市が認定した特定空き家の中でも、この空き家を含めて現在3件が所有者不在。津市としては緊急性のある空き家から対応するとしているものの、この3件については完全に白紙状態。
先述の元自治会長の男性は「せめて危険な県道に面している部分だけでもなんとかしてほしい。土地の売価で解体費用と相殺できるかを検討してほしい」と訴えかける。
相続放棄による所在者不在の空き家問題は全国各地で顕在化している。実は最後に相続放棄した者が法的には空き家の管理責任者になっており、破損や倒壊で被害が出た場合は責任を追う義務が発生する。だが、財産権を手放しているので、空き家の適切な管理を法的に強制できない。矛盾するようにも感じる責任所在のあいまいさが問題に拍車をかけている。
ただ今後も相続放棄による所有者不在の空き家の増加は確実で、国による法整備などの対策が予想される。最前線で対策に取り組む市としても市民の生命と財産を守るために、一歩踏み込んだ対応が求められる場面もあるだろう。

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