特別寄稿

経営上の理由からか、米国の報道は民主党寄りが多く、我が国のメインメディアもその受け売りがほとんどである。
この事は先の大統領選ではっきりしたが、これではファクトが恣意的に解釈される可能性が残り、トータル・バランスを重視するならば、共和党寄りのフォックス・ニュースもチェックする必要がある。
さて、今年5月、民主党のバイデン大統領は米国の情報機関コミュニティに対し、90日以内に新型コロナウイルスのデータを評価して「決定的な結論に近づくことができる」報告書を作成するよう指示した。だが、8月27日に報じられたところによると、自然発生説、武漢研究所流出説、どちらにも意見集約はできなかった。4つの情報機関と国家情報会議(NIC)は、確信度は低いながらも動物からの自然発生だとし、FBIは中程度の確信度で研究所からの流出だとし、CIAなどの3つの情報機関は証拠不十分だとした。
すべての情報機関の意見が一致したのは、2019年12月に中国武漢市で最初のクラスターが発生したこと、その前の遅くとも同年11月までに最初の小規模曝露を通じて人間に感染していたこと、そして、生物兵器として開発されたものではないとの見方。また、ほとんどの情報機関は、確信度は低いながらも、遺伝子操作(機能獲得研究)ウイルスではなかったと評価したことである。
これに先だつこと8月1日、米下院外交委員会のマイケル・マッコール筆頭理事(テキサス州・共和党)は、83ページにも上る詳細な調査報告書「COVID─19の起源 武漢ウイルス研究所の調査」を発表していた。日本のメインメディアは殆ど取り上げなかったが、要旨は以下の如くである。バイデン報告書はこれを超えることはできなかったのだ。

[マッコール報告書が主張するエビデンス]

ウイルスやコウモリやネズミから採取したサンプルなど重要な情報が記載されている莫大な量のデータベースが、2019年9月12日の深夜に突然消去され、研究所はその理由について明確な説明をしておらず、トップ研究者の石正麗氏の説明には一貫性がない。報告書は、9月12日以前に研究所から新型コロナウイルスが流出したとみている。
最初の感染が起きる2カ月半前、研究所では危険廃棄物処理システムや空調システムの改修が行われていた。運営が開始されて2年も経っていなかった新しい施設であるにもかかわらずである。空調システムの修繕代は約660ミリオンドル(6億600万ドル約668億円)。報告者は、これらのシステムが正常に機能していなかったために、新型コロナウイルスが流出したのではないかとみている。
2019年10月に、武漢で〝ミリタリー・ワールド・ゲーム〟という軍事関係者のスポーツ大会が行われ、100カ国以上の国々から9000人以上のアスリートが参加。ルクセンブルグの選手は、武漢の空港に着くなり体温を測定された。また、カナダの選手は人口1500万人の武漢のロックダウン状態を奇妙に感じたが、到着12日後に発熱、悪寒、吐き気などに襲われた。帰国便では60人のカナダ人選手が飛行機の後部席に隔離され、咳や下痢などを発症した。報告書は、最初の感染が報じられる前に、少なくとも4つの国では新型コロナウイルスに類似した患者が既に現れていたことから、このスポーツ大会が初期のスーパー・スプレッダー・イベントの一つになったのではないかとみている。
2019年の9月と10月に撮られた武漢の衛星写真によると、研究所から6・5マイル以内にある5~6の病院の駐車場に駐車する車の数が大幅に増加していた。武漢では同時期、新型コロナウイルスに似た症状を見せる患者が多数出現していた。これらの病院は研究所から地下鉄などの公共交通機関を使って行くことができる。また、研究所の研究者たちは、武漢の地下鉄や武漢国立バイオセーフティー研究所(以下、WNBL)が出しているシャトルバスを通勤に使っていたと思われる。報告書は、最初の感染は2019年の8月か9月に起きていたのではないかとみている。
同年終わりには、中国人民軍の生物兵器専門家が、武漢研究所BSL─4(バイオ・セーフティー・レベル4)のトップに任命され、研究所をコントロールしていた可能性がある。報告書は、その人物がコントロールしていたのならば、それよりも早い時点で中国共産党はCOVID─19の出現を知っており、感染は早くから始まっていたとみている。
研究所は、多くの中国人民解放軍の研究者たちと繋がりがあり、ウェブサイトにもその名前が掲載されていたが、そのリストは2020年5月28日に削除されている。
WNBLのバイオ・セーフティー・レベル4の研究所は、中国とフランスの合意の上に作られたが、中国は2016年、数多くの防護服をフランスに求めていた。フランス側はその数が必要以上に多いと考え拒否したが、このことは、中国が軍事研究をしようとしているのではないかという懸念をフランス国防相内に起こした。
医師が拘留されたり、ジャーナリストが行方不明になったり、中国共産党や研究所の科学者たちは、研究所で行われている研究を隠蔽する行動をとっている。また、サンプルを破壊し、ヒトヒト感染の証拠も隠蔽しWHOの追加調査を拒否している。
これまで科学界では、新型コロナウイルスは遺伝子操作の跡がないので人工ウイルスではなく、自然由来だと主張してきたが、ウイルスの遺伝子操作の痕跡を消す方法は、ノースカロライナ大学のラルフ・バリック博士が2005年に生み出している。報告書は研究所の科学者たちもその方法を使うことができる状況にあったとみている。
BSL─2という低い安全レベルの実験室で、機能獲得実験が行われていたことも隠蔽されていた。このレベルでは、自然由来のウイルスや遺伝子操作されたウイルスが実験室から容易に流出し、市中感染を引き起こす可能性がある。
中国は、これまでコロナウイルスの研究に莫大なリソースをつぎ込んできたにもかかわらず、2020年1月以降、新型コロナウイルスの起源を突き止める努力をしていない。
(次号に続く)
(OHMSS《大宇陀・東紀州・松阪圏・サイトシーイング・サポート》代表)

年代別感染死亡件数の分布図

年代別感染死亡件数の分布図

NHKの特設サイトによると、8月30日現在、47都道府県で確認された感染者総数は147万3654人、死者総数は1万6017人で、感染者の死亡率は1.09%にまで減少している

NHKの特設サイトによると、8月30日現在、47都道府県で確認された感染者総数は147万3654人、死者総数は1万6017人で、感染者の死亡率は1.09%にまで減少している

インテリジェンスが発達している先進6カ国、中国、ロシアでは、新型コロナウイルスワクチンの開発・接種も順調で、国連世界観光機関が今年の初めに予測したとおり、国際ツーリズム復活の兆しも見えてきた。テキサスの友人からも、2カ月連続でテキサスでは死者ゼロとの事である。ところが日本では、まだ蔓延防止や緊急事態宣言などの時間稼ぎレベルだ。何故だろう。
新型コロナウイルスのデータを毎回記録していると、PCR検査や抗体検査、抗原検査の件数が抑えられてきた事がわかる。コロナウイルス感染者は、たとえそれが無自覚・無症状で元気であったとしても、特別措置法で二類に指定した以上、社会から隔離する必要があるからだ。大規模な感染者の洗い出しは、あっという間に医療崩壊につながるからである。
とはいえ、日本が懸念している医療崩壊は、パンデミック初期に諸外国で見られたような、街なかで死屍累々と対峙するものではなく、感染症に対応した限られた医療機関のみである。何故ならば、日本では医師の過半数が個人医院(診療所)を経営しているが、これらは二類感染症には対応できず、大きな病院でも感染症用の病床や機器、担当医師や看護師が限定的だからある。また、全国にあった感染症対策の拠点たる保健所も、結核の撲滅と共に非力となっている(この事は、厚生労働省がほぼ毎日更新している医療機関別の検査件数を見れば一目瞭然だ)。これが日本のコロナ禍における病床不足の原因であり、崩壊が懸念されるのはこの領域なのである。
幸い日本では、まだ特効薬がないにもかかわらず、多くの患者が回復・退院している。これが、ソ連型のBCG接種による所謂「ファクターX」によるものかどうかは分からないが、変異株によって感染確認が急増しても累計死亡率は比例せず、むしろ下がってきているのも事実である。新型コロナは、お年寄り特有の病であるといわれる所以だ。
それでも二類感染症である。密閉、密集、密接の三密を回避し、経済活動も制限しなければならない。安倍前首相は昨年8月28日の辞任会見の冒頭、プロンプターなしで(つまり自分の言葉で)二類から五類へのシフトダウンについて触れたが、結局のところ、それは新型コロナ特措法の延長をもって霧散した。おかげで日本のツーリズム産業は、先の大戦以来の壊滅的な状況である。これは、モノ貿易からサービス貿易の時代への移行期にある世界のツーリズム産業地図を大きく書き換える由々しき事態だ。そのエビデンスは、以前の本稿に訳出したUNWTOの「インターナショナル・ツーリズム・ハイライト2020」にも記録してあるが、コロナ禍の前、2019年の極東における日本のインバウンド収入は、既に中国本土のそれを上回って東洋一となっていた。だからこそ、新型コロナウイルスワクチンの一刻も早い接種による、戦後復興が望まれるのである。
それなのに事態は一向に進捗しない。この日本におけるワクチン接種の遅れについては、接種体制の整備の遅れが原因だとしている。
だが、真相はそれだけではないようだ。5月15日のニューズウィークでは、厚生労働省の契約ミスが指摘されている。すなわち霞ヶ関の役人は、日本が認可してない段階だからと、欧米の製薬会社本社とではなく、話のしやすい日本支社や代理人と交渉していたのだ。それも、買うのか買わないのかはっきりしない前段階としてである。ファイザーのCEOはギリシャで育ったユダヤ系、ビオンテックはトルコからドイツに移住した家庭で育った医師が立ち上げた企業だが、このような多国籍企業である欧米の製薬会社経営陣は、国家の関係よりも契約書と株価だ。それが役人には分からなかったようである。また、薬害エイズ事件のトラウマや11年前の新型インフル・ワクチン供給過剰に対する批判を恐れる厚生労働省としては、法的根拠のない特例を作ったとしても、後から責任は負いたくないという事もある。この省益を守らんとする姿勢が初動を遅らせ、それが日本の国際的なワクチン取得レースの敗因になったのだ。厚生労働大臣は5月21日、特例として日本におけるモデルナ/武田薬品工業とアストラゼネカのワクチン製造と販売を承認したが、何をか言わんやである。
日本はどこで躓いたのか。先ず、役人の「海を渡り、川を登れ(新しい政策構想には、まず海外の事例を調べ、過去の前例を探す)」の政治家説得と世論批判の回避の手法だ。すなわち「前例主義」と「証拠主義」である。加えて、与・野党への献金最高額業界の医師会のリスク回避の姿勢と、WTOの傀儡たる専門馬鹿のメインメディアを通じた御託宣だ。福島第一原発の放射性物質問題の時もそうだったが、日本の偉い先生方には、核兵器や生物兵器に対する知見はない。これらが、日本の観光業、旅行業、飲食業をスケープゴートにし、21世紀のサービス貿易の国際ツーリズムを壊滅的状況に追い込み、そればかりか世代間対立や五輪開催の賛否という、世論の対立にまで至らしめたのである。漁夫の利を得たのは中国共産党に違いない。
では、今後どうすれば同じ轍を踏まずにすむのだろうか。私はAIによるオープンソース・インテリジェンスを提言する。これこそDX(Digital Transformation)の本命だ。もちろん民主主義国である以上、得られる情報は内閣府のV─RESASのように全ての国民が共有できるものでなければならない。そして、その真偽の確認や専門的な裏付けには、多くの現場からの裏付けも欠かせない。この手法は、インテリジェンス先進国では既に試験運用されているとみるのが論理的である。(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイト・シーイング・サポート」代表)

総務省の集計によると、外国人を含む14歳以下の子供の数は前年より19万人少ない1493万人で、40年連続の減少となった。日本の総人口に占める割合は11・9%で47年連続の低下である。内訳は男子765万人、女子728万人で、3歳ごとの年齢層別では低年齢ほど少なく、12~14歳が324万人に対して、0~2歳は265万人だった。国連人口統計年鑑によると、日本の子供の割合は人口4千万人以上の33カ国のうち、韓国の12・2%、イタリアの13・3%などを下回り、最少である。
この、そう遠くない未来の内需の減少は、既存企業の生き残り競争を激化せしめ、間伐のように中小企業の淘汰・再編を促す。そして、吸収によって膨れた企業が海外マーケットを求めるのも不思議ではない。外貨獲得にも欠かせないからだ。それ故、日本は自動車輸出に専念し、産業界は中国市場が特に有望であるとする。
ところが、中国税関総署によると、中国が2019年に輸入した自動車は105万台で、輸入元別に見ると日本からの輸入が33万台(シェア31・8%)、ドイツ(シェア26・5%)、米国(シェア18・3%)、スロバキア(シェア6・8%)となっており、2019年に中国で販売された自動車全体に占める比率は約4%にすぎない。中国における多くの外車の殆どは現地生産だからである。
世界の主要自動車メーカーは、中国のメーカーと現地に合弁会社を設立し、現地で生産と販売をしている。乗用車のブランド別販売状況を見ると、ドイツ系が520万台、日系が458万台、米国系が191万台、韓国系が101万台などとなっており、その合計は、中国系840万台をはるかに上回っている。ということは、日本の貿易収支への貢献も極めて限定的だと言える。依存度の高い生活雑貨の輸入との相殺が精々だ。何故ならば、中国は外貨の流出を殊のほか警戒しているからである。
中国の外貨準備高は2014年6月の3兆9932億ドルをピークに減少に転じ、2015年には通年で過去最大の5127億ドルも減った。そこで中国は海外旅行による人民元持ち出しに制限を設け、2016年の元旦からは海外での「銀聯カード」による現金引き出しも一日1万元・年10万元までに制限した。海外での「爆買い」が資本流出の抜け道になったと判断したためだ。ちなみに中国人民銀行によると、2021年2月末の外貨準備高は3兆2050億ドル(約346兆円)へと回復基調にある。コロナ禍によって海外渡航が禁じられているからである。
さて、こうみると、外貨獲得政策としてのインバウンド再開についても、高度な戦略を要することになる。少なくとも中国マーケットへの過度の依存はすこぶる危ういといえる。また、地方経済の自助活性化とSDGsのためには、20世紀の対米貿易にみられたような、モノ輸出の代わりにサービス輸入を差し出すものとは真逆であるべきともいえる。SDGsとは、2015年に国連総会によって設立され、2030年までに達成予定とされる持続可能な開発目標またはグローバル目標であり、「すべての人にとってより良く、より持続可能な未来を達成するための青写真」として設計された17の相互リンクされたグローバル目標コレクションだが、これを実現する為には製造業からサービス業へと優先政策を転換する必要がある。21世紀の世界大戦はコロナウイルスとの戦いになったが、戦後復興には多くの国々にとって、国際ツーリズムの復活が絶対に必要だからだ。そのエビデンスは、既にコロナの戦前から見えていたのである。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイト・シーイング・サポート」代表)

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